(台湾《2535雜誌》2010年5月号掲載--掲載文は繁体中文)
<テーマ:国際結婚> いまだに太い「脳内国境」 この文を書いている今(4月)、日本ではちょうど「国際恋愛」をテーマにした映画が公開された所だ。タイトルは「ダーリンは外国人」。女性漫画家である作者が、アメリカ人の夫との交際や結婚生活を描いた漫画エッセイを原作としたものだ。(どうやら台湾でも出版されているようですね) この本がベストセラーになり、2002年の第1弾出版からずっと読まれ続けた後、今回映画化までされたという事実が、日本人の国際恋愛&結婚観をある程度表しているように思える。 まず、タイトルを見てわかるのは、多くの人々にとって「外国人」はいまだに非現実に属するらしいということ。数十年前、日本で大人気を博したアメリカのドラマに「奥様は魔女」というのがあった(原題はBewitched:台湾でも「神仙家庭」というタイトルで放映されたらしい)。いまだにファンが多いこの番組を、この本のタイトルから連想する日本人は多いはずだ。多分それを狙ってつけたタイトルであるはずで、つまり魔女や宇宙人と同じ範疇に外国人を入れる気分が、多くの日本人の中にまだ残っていると考えられる。 さらにサブタイトル。「外国人の彼氏と結婚したらどーなるの?ルポ」この「(日本語で)どーなるの?」という語感は単なる疑問ではなく「全然想像がつきません」という気分であり、読者の「外国人との結婚生活は、さぞや意外なことに満ち満ちているに違いない」という予断を象徴している。 さて、この本の内容は、そうした大きな期待に応えてくれるのだろうか。実はそうとも言えないようだ。面白くないと言うわけではない。漫画家である作者の力量とリズムの良い編集によって、結構面白い話にまとまっているが、個別のエピソードをよく見てみると、二人の性格や考え方の違いといった、普通の夫婦にありがちなエピソードが結構多いのだ。この夫婦並に面白いエピソードを持っている日本人カップルは結構いるんじゃないかとさえ思わせる。 もちろん、日本語の細かい単語の意味にこだわり、ホラー映画を異常に怖がり、値切るのが好きで、PCに向かうと何も聞こえなくなるこの夫は「漫画のキャラ」として充分魅力的だが、もし彼が同国人の男性だったとしたら、こんな人気キャラに成り得ただろうか? つまり、実はどこのカップルにも見られるネタを扱いながら、「国際恋愛」をテーマにしたからこそ、この本は多くのファンを獲得し、8年の間版を重ねていると思われるのだ。「コーヒー牛乳」は飲まないが、「カフェオレ」なら好き、という人のように、ダーリンが醸し出す「外国」というスパイスに金を払っている読者も多いんじゃないだろうか。そう考えると、日本人の心に相変わらずある太い国境線を感じざるを得ない。 ただ、読んでいるうちに「多くのエピソードが自分たちにも当てはまる」ことに気づく読者も少なくないはずだ。その場合、彼らの考えが進む方向は二つある。 「なんだ、国際結婚と言っても、普通の結婚とあまり変わらないんだな」という方向と、 「そう言えば、うちの旦那(or恋人)の言動も何だか外国人とか宇宙人みたいだし」という方向。 日本人の場合は...うーん、何となく後者が多い気がする。 (中文版はこちら)
by uedadaj
| 2010-06-09 18:25
| 散歩
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