宅 その2

ずいぶん間が空いてしまったが、前回書いた「宅」には、さらにその後の展開がある。



「ググる」という言葉がある。周知の通り「グーグル」から派生した動詞だ。カタカナ語名詞に「る」をつけて動詞化するという語法は、もともと日本語でも珍しくない。「メモる」「ハモる」「トラブる」「サボる」など、既に一般化したものがたくさんあるわけだが、中国語にもそういうのはあるらしい。

たとえば下記のリンクにあるニュースの見出し。

宅男宅過頭 竟以為雞有6隻腳

見出しには二カ所「宅」という字が出てくる。最初の「宅男」は前回述べた「ひきこもり系男子」ということだが、二番目の「宅過頭」の「宅」。「過頭」というのは「◯◯しすぎ」ということで、辞書には「饺子吃过头了」(ギョーザを食べ過ぎた)などという例がある。つまりここの「宅」は動詞で「こもり過ぎ!」ということになるようだ。

参考までにニュースの内容は、ネット等にハマって常識を身につけない青少年を問題視するもので、コンビニに売ってあるチキンが6本入りだからと言う理由で、鶏が6本足と思い込んでいた例を挙げている。わはは。でもずっと前の日本でも、4本足のニワトリを描いた小学生が嘆きのニュースになっていたっけ。

ニワトリが出てきたから動物つながりで、ってことでもないが、本来の名詞が動詞になった例で、個人的に印象に残っているのは、ネコとカメだ。

◯「猫」mao1
動詞になると「引きこもる」という意味になる他、2声のmao2になると、「猫腰」で「腰を屈める」という意味になる。見たまんまでわかりやすい。ネコはこたつで丸くなるわけだ。

◯「亀」gui1
これも分かりやすい。動詞として「遅い」「遅れる」という意味になるらしい。日本語でもネット上で「亀レス」とかいう言葉を見かけるが(古い?)、その感覚は中国語にもあるようだ。下記のリンクは、台湾のソフト関連のブログから。

龜了很久的 Firefox 3 終於發出一點光芒

「遅れに遅れ」た末にやっと出たFirefox3のニュース!という感じだろうか。

他に、辞典をざっと見た所では
◯「狗」gou3:人にとりいる、おべっかを言う、へつらう
◯「熊」xiong2:どやしつける、しかりつける
◯「猴」hou2:体をまるめてうずくまる
というように、動物動詞というのもなかなか面白い世界がありそうだが、話を戻そう。

新しく出現した社会現象やファッションなどを表す言葉は名詞が多い。そういうことを「やる」ということになると、その言葉をまんま流用して一語で表現しようという傾向が働くのは、日本語も中国語、英語も同じだということか。...いやいや、日本語の場合は「〜〜る」とか「〜〜する」をつける手間がいるわけで(「ググる」の場合は語呂よく動詞にできたが、「る」をつけにくくて定着しない例もあるだろう)、動詞や名詞に決まったフォーマットがない中国語や英語の方が、もっと自由に語彙の流用をやっているのかも知れない。
[PR]
by uedadaj | 2010-04-18 18:01 |


<< 【2535】寵物的「人化」 【2535】「假裝不關心薪水」的背後 >>